文=仁藤 律(解約ナビ 運営者)
イーオン(AEON)を途中でやめたい。でも「解約したらいくら戻ってくるのか」が調べても出てこない——そう感じている方は多いはずです。イーオンは受講料を公式サイトに全部は載せていませんが、実は解約のルールそのものは「受講約款」というPDFで全文公開されています。この記事は、その約款と公式FAQ・料金ページだけを読んで、返金額の計算式を復元したものです。
結論から言うと・・・
通学コースは、在籍スクールのカウンセラーに解約を申し出れば、契約期間中はいつでも中途解約できます。ただし返金額から引かれるのは公式FAQが挙げる「残レッスン授業料の20%」だけではありません。受講約款は、最初のレッスンを受けた後(受講開始後)の解約について①契約登録費(入学金+登録料・上限15,000円)②違約金(5万円か契約残額の20%の低い方)③消化済みの授業料とシステム管理費の3つを差し引くと定めています。逆にまだ1回もレッスンを受けていない段階なら、引かれるのは①だけ(最大15,000円)です。受講申込書と約款を受け取ってから8日以内なら、クーリング・オフで全額返金+教材費も全額返金(引き取り費用は会社負担)。いずれも契約期間が2か月を超え、支払い総額が5万円を超える契約に適用されるルールです。
ヤクちゃん公式のよくある質問には「解約手数料は残レッスン授業料の20%」としか書いてなかったんですが、それだけですよね?
カイくんそのFAQは「解約手数料」の額だけを説明したもので、間違いではありません。ただ受講約款を開くと、解約手数料のほかに入学金・登録料ぶんと消化済み費用も差し引くと書かれています。FAQの数字だけで返金額を見積もると、実際より多く戻る計算になってしまいます。
この記事は、イーオンの通学コース(Lightレッスン・Acquisitionレッスン・プライベートレッスンなど)を契約中で解約を検討している方、およびこれから契約する前に解約条件を確認しておきたい方に向けたものです。
イーオンの解約は「20%」だけでは終わらない
まず全体像を、公式が書いていることだけで整理します。イーオンは通学コースとオンライン月額プランでルールがまったく違うので、自分がどちらかを最初に確かめてください。
| 項目 | 通学コース(スクール契約) | オンライン月額プラン |
|---|---|---|
| 解約の窓口 | 在籍スクールのカウンセラーに相談(公式FAQ)。約款上は「乙(株式会社イーオン)に対して解除の申し出をする」 | マイページ(公式は「契約の解約(休会)」と、解約と休会をひとまとめに説明している) |
| 手続きの方法 | 口頭でも申し出可。ただし「後日書面をご提出いただく場合があります」。代理人が行う場合は委任状が必要 | 「休会はマイページからいつでも可能です」(公式FAQ) |
| クーリング・オフ | 受講申込書(控え)と受講約款を受領した日から起算して8日。書面または電磁的方法。発した時点で効力発生 | 〔未確認〕(公開ページにクーリング・オフの記載なし) |
| 中途解約の締切 | 8日経過後も、解除の申し出により可能。月謝制の場合は解約希望月の前月25日まで | 次月分の決済日の前日(公式はこれを「次月分の契約開始日の3日前」とも言い換えている=同じ1つの締切)。決済完了後の取り消し・返金は不可 |
| 差し引かれるもの | 【受講開始後】契約登録費(入学金+登録料、上限15,000円)/違約金(5万円か契約残額の20%の低い方)/消化済み授業料/消化済みシステム管理費 【受講開始前】契約登録費のみ(上限15,000円) | 解約手数料の記載なし。ただし支払い済み分は戻らない |
| 教材費 | クーリング・オフなら全額返金/中途解約は「完全未使用・未開封」と査定できたときのみ返金 | 「入学金・教材費0円」(公式サイト表記) |
| 休学・休会 | 制度あり。可能期間は契約期間・レッスンにより設定(一部コースを除く) | マイページからいつでも休会可能 |
(株式会社イーオン「受講約款」2026.04・2026年9月6日確認/イーオン よくあるご質問・2026年9月6日確認/オンライン英会話イーオン よくあるご質問・2026年9月6日確認)
🔑 公式サイトを読み比べて分かった3つのこと
① FAQの「20%」は、引かれる3つのうちの1つでしかない
公式FAQはこう書いています。
はい。契約の解除(クーリングオフ・中途解約)を行うことができます。中途解約された場合は、解約手数料として残レッスン授業料の20%(最大5万円)をいただいております。詳細については、ご入学前のコース説明会でお渡しする書面にてご確認いただけます。
一方、受講約款の第10条(本契約の解除・中途解約)第3項は「乙は、甲から既に受領した金額の総額から以下の費用を差し引いた残額を甲に返金します」として、受講開始後の控除項目を次のように列挙しています。
- 本契約の締結及び履行に要した費用(契約登録費):入学金と登録料の合計 ※特定継続的役務提供契約において政令で定める範囲の額(上限15,000円)
- 違約金:5万円または契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額
- 消化済みのシステム管理費
- 消化済みの授業料
FAQは「解約手数料」の額だけを答えたもので、しかも「詳細については…書面にてご確認いただけます」と留保しています。その意味で公式内の矛盾ではありません。ただ、FAQだけを読んで「20%を引いた額が戻る」と思っていると、入学金と登録料ぶんが戻ってこないことを見落とします。公式に出ている金額でいえば入学金11,000円+登録料3,300円=14,300円。システム管理費をまとめて前払いしていれば、その消化済み分も戻りません。
「契約残額の20%」という約款の表現も検算しておきます。約款は「契約残額」を「入学金・登録料と残授業料の合計額から契約登録費を差し引いたもの」と定義し、契約登録費は「入学金と登録料の合計」です。差し引くと契約残額は残授業料と同額になり、「契約残額の20%」=「残レッスン授業料の20%」。ここはFAQの表現と一致します(入学金と登録料の合計14,300円が、契約登録費の上限15,000円の範囲に収まっている場合)。
もうひとつ、FAQに出てこない読者に有利な区分があります。約款は控除項目を「受講開始前」と「受講開始後」に分けており、受講開始前の解約なら、引かれるのは契約登録費(上限15,000円)だけです。20%の違約金も消化済み費用もありません。ここでいう受講開始前とは「最初の対面レッスンまたはオンラインプライベートレッスンの受講開始時まで」と約款が定義しています。契約したものの1回も通わないまま迷っている人は、この線を越える前かどうかで手取りが変わります。
② 教材費は「8日」を境に扱いが真逆になる
ここが一番見落としやすい点です。約款は教材について、8日以内(クーリング・オフ)と8日経過後(中途解約)で、まったく違う条件を書いています。
8日以内のクーリング・オフ(第9条)は、使用の有無に一切ふれずにこう書いています。
⑼本条第(6)項の教材の販売契約の解除があった場合、乙は教材の代金を受領しているときは、速やかに甲に対してその全額を返金します。
⑽本条第(6)項の教材の販売契約の解除があった場合、教材の引き渡しが既にされているときは、その引き取りに要する費用は乙の負担とします。
ところが8日経過後の中途解約(第10条第4項)になると、条件が付きます。
教材等の返却があった場合、乙の査定により、完全未使用・未開封であると査定できたときは、代金を返金します。書き込み、汚れ、破損、開封、染みや折れ等があり、使用されたものは残存価値がないものとして、返却されなかった場合と同じく返金対象にはなりません。教材返品の請求は、契約期間内に行われるものとします。
この差は約款の書き間違いではなく、法律の建て付けどおりです。語学教室の「関連商品」には消耗品の指定がないため、消費者庁の枠組みでは使ってしまった教材でもクーリング・オフの対象になります。実務上の意味は明確で、テキストを開いて書き込んでしまった人でも、8日以内なら教材費まで戻る可能性がある、ということです。「もう開けてしまったから諦めよう」と判断する前に、書面を受け取った日を数えてください。
③ 月謝制でも特商法の返金ルールを適用する、と約款が自分で書いている
月払いのスクールは「月ごとの契約だから途中解約という概念がない」と説明することがあります。イーオンは逆で、約款の受講開始後の欄に【月謝制による支払い】という見出しを立て、こう明記しています。
月謝制による支払いであっても、継続的な役務提供を想定しておりますので、特定商取引法第41条特定継続的役務提供契約により、以下の返金規定が適用されます。
読者にとっての意味は二面あります。良い面は、月謝制でもクーリング・オフや中途解約の権利が使えると会社が認めていること。注意すべき面は、月謝制であっても違約金の対象になりうることです。「毎月払いだから、やめたい月にやめれば終わり」ではありません。
ただし、この一文をどんな月払いにも当てはめないでください。同じ約款の第33条は「本約款は、契約期間が2か月を超え且つ支払い総額が5万円を超える契約の場合に適用されます」と範囲を区切っており、学習指導期間も第7条で「受講申込書に記載された期間」と定められています。イーオンの月謝制は、期間の決まった契約の支払い方が月払いというだけで、期間の定めがなくいつでも抜けられる月額サービスとは形が違います。後述するイーオンのオンライン月額プランは、この約款ではなく別の枠組みで考える必要があります。
💰 結局いくらかかるのか
公式に出ている費用(Lightレッスンの場合)
イーオンは全コースの料金表を公開していませんが、代表的なコースの金額はコースページとFAQに出ています。
| 費目 | 金額(税込) |
|---|---|
| 授業料(Lightレッスン・定員8名・50分) | 1ヶ月 13,200円 |
| 授業料(プライベートレッスン) | 1回 12,100円 ※回数契約 |
| 入学金 | 11,000円 |
| 登録料 | 3,300円 |
| システム管理費 | 1,650円/月 |
| 教材費 | 実費(コース・レベル・通学期間で異なる)=金額は〔未確認〕 |
(イーオン Lightレッスン・2026年9月6日確認/イーオン プライベートレッスン・2026年9月6日確認)
FAQは「Lightレッスン(週1回、1年間のコース)の場合、1ヶ月あたり13,200円(税込)です」と説明しています。授業料1年分158,400円+入学金・登録料14,300円だけで17万円を超えるため、この契約は「2か月を超え、かつ総額5万円を超える」に該当します。約款が適用され、クーリング・オフと中途解約の権利がはたらく範囲です。
一括払いで6か月後に解約したらいくら戻るか(試算)
公式に出ている数字だけを約款の計算式に入れてみます。前提は「Lightレッスン週1回・1年契約・授業料を一括前払い・6か月消化した時点で解約・教材費は除く・システム管理費は毎月支払い」です。実際の金額は受講申込書の内容で変わるので、あくまで構造を理解するための試算として読んでください。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| すでに支払った額(入学金11,000+登録料3,300+授業料158,400) | 172,700円 |
| - 契約登録費(入学金+登録料=14,300円。上限15,000円の範囲内) | −14,300円 |
| - 消化済み授業料(13,200円×6か月) | −79,200円 |
| - 違約金(契約残額79,200円×20%=15,840円。5万円より低いのでこちら) | −15,840円 |
| 返金額 | 63,360円 |
残っている授業料79,200円のうち、戻るのは63,360円。残授業料のちょうど8割です。入学金と登録料は返らず、違約金として残授業料の2割が引かれます。これとは別に、消化済みのシステム管理費も戻りません。約款は「システム管理費は、契約開始月から消化いたします。受講開始後に契約の解除があった場合は、最終在籍月も消化いたします」とし、「5月15日に受講を開始し、7月10日に解約した場合は、3か月分消化いたします」という例を挙げています。月の途中で始めても終えても、その月は1か月分として数えられるということです。残りのシステム管理費は全額返金すると約款が書いているので、まとめて前払いしていた場合は未消化分が返ります。
月謝制の場合と、公式からは読み取れない点
月謝制の締切と月割りの扱いは、約款が例まで挙げて説明しています。
月謝支払いの場合…解約のお申し出は、解約希望月の前月25日までにお願いします。なお、翌月の引き落としを停止する場合も前月25日までにお申し出ください。
月途中での退学の場合、退学月の授業料及びシステム管理費は全て消化とみなします。(例) 7月12日に契約解除(退学)の申し出があった場合、7月末までの授業料及びシステム管理費はお支払いいただきます。8月分の費用が引き落としされている場合は返金します。
つまり月の前半に申し出ても日割りにはならず、その月は満額です。そして25日を過ぎると解約処理が翌月扱いになり、翌月分の引き落としが止まりません。ただし止まらなかった分がそのまま取られるわけではなく、約款は同じ箇所で「万一、返金対象の月謝が引き落としされた場合は、返金致します」とも定めています。上の例でも「8月分の費用が引き落としされている場合は返金します」と書かれています。引き落としが1回余分に走ったら、返金の対象かどうかを必ず確認してください。
一方で正直に書いておくと、月謝制で違約金が実際にどう請求されるのかは、公式の文面からは読み切れませんでした〔未確認〕。約款第10条第3項は「既に受領した金額の総額から以下の費用を差し引いた残額を返金します」という差し引きの構造で書かれているため、前払いのない月謝制で違約金だけを別途請求されるのかどうかが書かれていません。他方でFAQは「解約手数料として…いただいております」と表現しています。金額に直結するので、解約を申し出るときに「私の契約で違約金はいくらになりますか」と数字で確認し、書面で受け取ってください。
分割払い(イーオンスチューデントクレジット)で解約したとき
FAQは支払い方法をこう説明しています。「支払い方法は一括払いと分割払いがあります。一括払いの場合:銀行振り込み・コンビニ振込み・クレジットカード。分割払いの場合:イーオンスチューデントクレジットをご利用いただくと、月々払いが可能です。*分割手数料がかかります。」信販会社の社名は公式サイトでは確認できませんでした〔未確認〕。
解約時の精算は約款が三者間で行うと定めています。
クレジット契約の場合…クレジット会社所定の方法に基づき、三者間で精算します。乙からの返金額よりもクレジット会社への残債が多い場合は、その差額をお支払いいただきます。また、この逆の場合は返金致します。
ここは注意が必要です。解約しても信販会社への支払いが自動でゼロになるわけではなく、返金額より残債が多ければ差額を自分で払うことになります。ただし約款第15条は抗弁権の接続を認めています。「甲は、本契約に関して、信販会社のクレジットを利用している時には、乙との間で生じている事由をもって当該信販会社に対して問題が解決するまでの間、支払いを停止することができます」。イーオンとの精算でもめている間に信販会社への支払いだけが進む、という事態は避けられる建て付けです。ただし同条は「抗弁権の主張が信義則に反する場合はこの限りではありません」とも定めているので、無条件に止められるわけではありません。
休学は使えるが、届け出を出さないと授業料が消える
公式FAQは「休学はできますか?」に「はい、可能です。ご契約期間やレッスンによって、休学可能期間が設定されています。詳しくはスクールにてご確認ください。(一部のコースを除く)」と答えています。具体的な休学可能期間・費用・手続きは、約款第12条が「別途定める就学規定にてご確認ください」としており、その就学規定は公開サイト上では見つけられませんでした〔未確認〕。
ただし約款本体に、金銭に直結する3行があります。
- 休学届け出期間中の授業料は消化しませんが、システム管理費は、在籍にかかる費用として消化します。
- 休学願の届け出なしにお休みされた場合は、自動的に授業料が消化します。
- 休学届け出期間中に退学を申し出られた場合、退学の申し出月までのシステム管理費は、お支払いいただきます。
加えて、グループレッスンの授業料は「期間消化を原則としますので、受講の有無に関わらず週毎にレッスンが消化されます」と定められています。「忙しいから当面行かない」と黙って休むと、通っていなくても授業料は減っていきます。やめるか休学届を出すか、どちらかを早く決めたほうが金銭的な損は小さくなります。
⚖️ 法律上の位置づけ
語学教室は特定継続的役務提供の対象
消費者庁は特定継続的役務提供を「長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。現在、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務が対象とされています」と説明しています。語学教室の要件は期間が2か月を超え、かつ総額5万円を超えること。総額には「入学金、受講料、教材費、関連商品の販売など」が名目を問わず消費税込みで含まれます (消費者庁「特定継続的役務提供」・2026年9月6日確認)。
イーオンの約款も同じ線を引いています。第33条(附則)は「本約款は、契約期間が2か月を超え且つ支払い総額が5万円を超える契約の場合に適用されます」、第9条の柱書も「本条で定める契約の解除・クーリング・オフは、2か月を越え且つ支払い総額が5万円を越える契約の場合にのみ適用されます」。そのうえで冒頭に「受講申込書及び本受講約款は、特定商取引に関する法律第42条特定継続的役務提供にて定める「書面の交付」に基づく契約時の書面です」と書いています。この2つの要件をどちらも満たすかが、権利が使えるかの分かれ目です。短期・少額のコースは対象外になります。
クーリング・オフ8日と、起算日が来ないケース
クーリング・オフは8日間で、起算日は契約書面を受領した日を含めて数えます。方法は書面または電磁的記録(電子メール、事業者サイトの専用フォーム、FAX、USB等)で、「通知を発した時に、その効力を生ずる」発信主義です。届いた日ではなく送った日で判定されるので、8日目に出しても間に合います。損害賠償・違約金の請求はできず、すでに役務が提供されていても対価を請求できず、受領済みの金銭は速やかに返還されます。不実告知や威迫困惑による妨害があった場合は8日経過後も可能で、消費者に不利な特約は無効です(法第48条第8項)。
最も見落とされやすいのが書面不備の論点です。特定商取引法の逐条解説はこう述べています。
役務提供事業者等がこれらの書面を交付しなかった場合はもとより、クーリング・オフができる旨が記載されていない等、書面に重要な事項が記載されていない場合、クーリング・オフをすることができなくなるまでの8日間の起算日が到来せず、クーリング・オフできる時間が継続することになる(すなわち、クーリング・オフをする権利が消費者側に留保されていることになる。)。
事業者には契約前に概要書面、契約後に遅滞なく契約書面を交付する義務があり、書面は赤枠の中に赤字・8ポイント以上という体裁要件もあります。書面をもらっていない、あるいはクーリング・オフの記載がないなら、8日はまだ始まっていない可能性があります (消費者庁「特定商取引に関する法律・解説」・2026年9月6日確認)。
中途解約権と、上限額の意味
8日経過後は法第49条により「将来に向かつてその特定継続的役務提供契約の解除を行うことができる」とされ、消費者庁のQ&Aは「クーリング・オフ期間経過後も、その契約期間中であれば、いつでも、理由の如何を問わず中途解約することができます。関連商品を購入している場合もあわせて中途解約できます」と説明しています。逆に言えば契約期間が満了した後は中途解約できません。
語学教室の損害賠償等の上限は、役務提供開始前が15,000円、開始後が「提供済み役務の対価相当額+5万円または契約残額の20%のいずれか低い額」です。契約残額とは「対価の総額から提供された特定継続的役務の対価に相当する額を控除した額」を指します。イーオンの約款が使っている15,000円・5万円・20%という数字は、この政令の枠組みに対応するものです。
ここで重要なのは、逐条解説が上限の性質をはっきり否定していることです。「あくまで上限を規定したものであり、本項に定める額まで請求できる権利を役務提供事業者に与えたものと解してはならない」。上限額イコール必ず取られる額ではありません。また消費者庁Q&Aは「入学金(入会金)は返還しない」等の特約は無効になるとしたうえで、初期費用を中途解約時に請求するには、契約書面の「精算に関する事項」に具体的内容と請求する旨を事前に明示していることが必要だとしています。初期費用に該当するのは入会諸手続やレベルチェック等で、コピー費・光熱費・冷暖房費は月々の諸経費であって初期費用ではありません (消費者庁「特定継続的役務提供 Q&A」・2026年9月6日確認)。
関連商品としての教材
語学教室の関連商品は、書籍(教材を含む)、CD・DVD・CD-ROM等、ファクシミリ装置及びテレビ電話装置です。本体契約を解約すれば関連商品も併せて解約できます(関連商品だけを単独でクーリング・オフすることはできません)。ここでの「関連商品」は、契約書面に購入する必要のある商品として記載されたものを指し、記載のない任意購入品は「推奨品」として対象外です。そして語学教室の関連商品には消耗品の指定がないため、使用・消費してもクーリング・オフができます。
イーオンの約款も「主要教材の他に補助教材(オプション)として任意にご購入いただいた商品は、本項の適用はございません」と書いており、必須の主要教材と任意のオプション教材を分けています。受講申込書に教材がどう書かれているかが、そのまま扱いの分かれ目になります。
オンライン月額プランはどう考えるか
まず前提の確認です。逐条解説は「役務の提供がファクシミリや電話、インターネット、郵便等を用いて行われる場合も広く含まれる」と注記しており、消費者庁のQ&Aも同旨です。「オンラインだから特定継続的役務にあたらない」というのは誤りです。
本当の分岐点は、期間の定めがあるか、継続を自分で自由に選べるかです。逐条解説は、あらかじめ期間を定めて契約するのではなく月謝払いで役務提供し解約も自由にできる場合は「月ごとに契約が更新されていると考えられ、基本的には役務提供期間は政令で定める期間を超えていないと評価される」としています。ただし同じ文の中で「契約の実態によっては該当する場合もある」とも留保しており、契約の延長を当初から当然に予定していた場合などは、延長前後を一体として要件に当てはめることがあるとしています。
イーオンのオンライン月額プランは、公式FAQによれば「いつご入会いただいても、初回は契約日を含む31日間、2回目以降は30日ごとの自動更新となります(休会はマイページからいつでも可能です)」という形です。この形なら、上の「月ごとに契約が更新されている」型に近く、期間要件を満たさないと評価されるのが基本になります。ただし留保がある以上、実態次第では結論が変わります。同じイーオンでも、契約したのが通学コースかオンライン月額プランかで結論が変わるということです。
もうひとつ、他媒体でよく見かける誤りに注意してください。通信販売の8日返品(法第15条の3)は条文上「商品又は特定権利の売買契約」に限られており、レッスンのような役務提供契約には適用されません。「オンライン英会話は通信販売だから8日以内なら解約できる」は成り立ちません。一方、特定申込み画面の表示義務違反による取消権(法第15条の4)は条文の主語が「販売業者又は役務提供事業者」なので役務にも及び、無料期間後の自動課金や解約条件が分かりにくい表示で誤認して申し込んだ場合は、申込みの意思表示を取り消せます。
特定継続的役務提供に該当しない場合でも、消費者契約法は常にはたらきます。第9条第1号は、解約に伴う損害賠償・違約金が「平均的な損害の額」を超える部分を無効とし、第9条第2項は消費者から求められたら算定根拠の概要を説明する努力義務を定めています。高額な違約金や残期間分の一括請求をされたときは、ここで争える可能性があります。
こんなときは188へ
次のどれかに当てはまるなら、自分で結論を出す前に相談してください。「困ったときは、一人で悩まずに、「消費者ホットライン」188にご相談ください」と消費者庁は案内しています。
- 期間拘束型のプラン(◯か月コース/年間プラン/一括前払い)かどうかで結論が変わる場合
- キャンペーンで「◯か月継続が条件」等の条件付き割引を適用していた場合
- 教材・テキストをセット購入し、合計5万円を超える場合
- 解約時に高額な違約金や残期間分の一括請求をされた場合(消費者契約法第9条で争える可能性)
- 契約書面・概要書面を受け取っていない、クーリング・オフの記載がない場合(起算日が到来していない可能性)
- 路上で呼び止められて店舗に同行した、販売目的を告げられずに呼び出されたなど、キャッチセールス・アポイントメントセールス的な勧誘で契約した場合
最後の項目について、消費者庁は「営業所等で締結された契約であっても、「訪問販売」に該当する場合があります」として、キャッチセールス・アポイントメントセールスの例を挙げています (消費者庁「訪問販売」・2026年9月6日確認)。
📗 これから契約する人へ
イーオンは受講約款をPDFで全文公開しているので、契約前に読めます。しかもこの約款は「特定商取引に関する法律第42条特定継続的役務提供にて定める「書面の交付」に基づく契約時の書面」だと自ら宣言しています。説明会の場でスタッフに聞く前に、目を通しておいて損はありません。
そのうえで、受講申込書に書き込まれる項目を必ず自分で確認してください。約款は金額・期間・回数・教材の内容をすべて「受講申込書をご覧ください」に委ねているからです。第5条は「授業料、入学金、登録料、システム管理費、教材及び教材費、授業の時間数に関しては、受講申込書をご覧ください」、第7条は「学習指導期間は、受講申込書に記載された期間とします」、第14条は事業者の住所・担当者・契約年月日も受講申込書に記載としています。つまり解約時の計算に使われる数字は、すべて申込書の側にあります。控えは必ず受け取り、保管してください。クーリング・オフの8日は、この控えと約款を受け取った日から数えるからです。
チェックしておきたい点を挙げます。
- 契約期間と総額。2か月超・総額5万円超に届くかで、クーリング・オフと中途解約が使えるかが決まります。
- 教材が必須か任意か。申込書に購入必須として書かれていれば関連商品として一緒に解約できますが、任意購入の補助教材は約款上も返金の対象外です。
- 分割払いの残債。イーオンスチューデントクレジットを使うと、解約後も返金額を超える残債は自分で払うことになります。総支払額と分割手数料を先に聞いてください。
- キャンペーンの適用条件。学生割引(授業料5%OFF)は「通常の一般通学コースを受講される、学生の方限定の特典です」「授業料5%OFFは、初回ご契約分が対象となります」と条件が公開されています。卒業生限定の復学特典(入学金11,000円が0円)は「2026年8月29日までにイーオンにご入学した方に適用となります」とあり、この記事の確認時点では適用期間を過ぎています。ただしどちらのページも最後は「特典の適用には条件があります。詳しくはお問い合わせください。」で締めており、途中解約した場合に割引分を返すのかといった継続期間の縛りまでは公開されていません〔未確認〕。契約前に書面で確認してください。
- 前受金は保全されていない。約款第25条は「乙は、入学金・授業料・登録料・システム管理費・教材費その他の金銭についての前受金の保全措置はとっていません」と明記しています。長期分をまとめて前払いするほど、この点の重みは増します。
もうひとつ、オンライン英会話の無料体験は、公式サイトの中で期限の書き方が2通りに分かれています。同じオンライン英会話イーオンのページに「登録日の翌月末までに2回ご受講いただけます」と「新規会員登録日より30日間、計2回ご受講いただけます」の両方が載っており、よくあるご質問は「新規会員登録日の翌月末日までに2回」としています(いずれも2026年9月6日確認)。登録日によっては、この2つの読み方で期限が最大1か月ずれます。登録時にクレジットカードは不要で、体験から自動で課金が始まる仕組みではありませんが、体験の期限は登録画面の表示で確認してください。
よくある質問
電話やカウンセラーへの口頭の申し出だけで解約できますか?書類は必要ですか?
中途解約については、約款第10条第1項が「甲は、乙に対して解除の申し出をすることによって本契約の解除を行うことができます」としており、口頭の申し出も想定されています。ただし同項は「口頭による解約申し出の場合は、後のトラブル防止のため後日書面をご提出いただく場合があります」とも書いています。代理人が申し出る場合は委任状が必要です。一方、8日以内のクーリング・オフは書面または電磁的方法で行うと定められていて、発した時点で効力が生じます。日付の証拠が残る形で出すのが確実です。
月謝制なので、行かなくなった月から自然に止まりますよね?
止まりません。約款は解約の申し出を「解約希望月の前月25日まで」と定めていて、それ以降になると解約処理が翌月扱いになり、翌月分の引き落としを止められません(引き落とされた分が返金対象なら返金されます)。さらに月途中で退学しても「退学月の授業料及びシステム管理費は全て消化とみなします」とされ、日割りにはなりません。グループレッスンの授業料は「受講の有無に関わらず週毎に」消化されるので、黙って通わなくなるのが一番損です。
教材をもう開けて書き込んでしまいました。教材費はもう戻りませんか?
受講申込書の控えと受講約款を受け取ってから8日以内なら、可能性があります。約款第9条は、クーリング・オフの場合「乙は教材の代金を受領しているときは、速やかに甲に対してその全額を返金します」とし、使用の有無に条件を付けていません。引き取り費用も会社の負担です。法律上も、語学教室の関連商品には消耗品の指定がないため、使ってしまった教材もクーリング・オフの対象になります。8日を過ぎて中途解約になると、約款は「完全未使用・未開封であると査定できたとき」に限って返金するとしているので、扱いが変わります。まず書面を受け取った日を確認してください。
出典一覧
- 株式会社イーオン「受講約款」(2026.04版・PDF)(受講約款・2026年9月6日確認)
- 英会話イーオン よくあるご質問(授業料・支払い方法・解約・休学)(よくあるご質問・2026年9月6日確認)
- 英会話イーオン Lightレッスン(授業料・入学金等諸経費)(Lightレッスン・2026年9月6日確認)
- 英会話イーオン プライベートレッスン(回数契約・1回あたりの授業料)(プライベートレッスン・2026年9月6日確認)
- 株式会社イーオン 会社概要(本社所在地・創立年月・事業内容)(会社概要・2026年9月6日確認)
- オンライン英会話イーオン(料金プラン・契約期間・自動更新)(オンライン英会話イーオン・2026年9月6日確認)
- オンライン英会話イーオン よくあるご質問(解約・休会)(よくあるご質問・2026年9月6日確認)
- 英会話イーオン 卒業生向けキャンペーン/学生向けキャンペーン(特典条件)(卒業生特典・学生割引・2026年9月6日確認)
- 消費者庁「特定継続的役務提供」(特定商取引法ガイド・2026年9月6日確認)
- 消費者庁「特定継続的役務提供 Q&A」(Q&A・2026年9月6日確認)
- 消費者庁「特定商取引に関する法律・解説(逐条解説)」(逐条解説PDF・2026年9月6日確認)
- 消費者庁「訪問販売」(キャッチセールス・アポイントメントセールス)(特定商取引法ガイド・2026年9月6日確認)
