IBJメンバーズの退会|登録料33,000円「返金なし」を検証

この記事は2026年9月6日に各社の公式ページを確認して作成しました。手順や金額は変更されることがあるため、お手続きの前に公式ページで最新の内容をご確認ください。
文=仁藤 律(解約ナビ 運営者

IBJメンバーズをやめたい。けれど初期費用だけで税込25万円を超えている以上、「途中で退会したら何が戻ってくるのか」は絶対に確かめてから動きたいところです。この記事は、IBJメンバーズの公式サイト(料金ページ・よくあるご質問・サービス紹介ページ・他社のりかえ割ページ)と株式会社IBJの会社概要、そして消費者庁・国民生活センターの一次情報だけを読んで、退会時の費用の行方を整理したものです。他社の比較サイトやまとめ記事は一切使っていません。

結論から言うと・・・

解約方法

IBJメンバーズの初期費用は税込252,450円で、活動サポート費(税込219,450円)と登録料(税込33,000円)の2本立てです。公式サイトが「返金する」と書いているのは活動サポート費の未活動分だけで、登録料については公式ページが「登録料(返金なし)」とはっきり明記しています。ところが消費者庁は「入会金は返還しない」という特約を明確に無効としています。しかも公式が載せている返金の計算例は、表示されている数字どおりに引き算すると合いません(差はちょうど2万円)。契約書面を受け取ってから8日以内なら、公式FAQ自身が「無条件に入会契約を解除」でき「既にお支払済の料金および消費税は、全額ご返金」と書いています。8日を過ぎたあとも、結婚相手紹介サービスは特定商取引法の「特定継続的役務提供」の7類型に入っているため、契約が期間2か月超・総額5万円超なら中途解約の精算に法律の上限がかかります。その上限はサービス開始前なら3万円、開始後なら「提供済みの対価+2万円か契約残額の20%の低いほう」です。

ヤクちゃん

途中で退会したら、入会時に払った25万円くらいの初期費用は戻ってくるんでしょうか。公式のよくある質問には「未活動分を返金」と書いてあったのですが。

カイくん

その一文が対象にしているのは活動サポート費だけです。初期費用はもう一つ、登録料が別立てになっていて、そちらは公式の別ページに「登録料(返金なし)」と書かれています。ただ、消費者庁は「入会金は返還しない」といった特約は無効だとはっきり書いています。しかもその公式ページの返金計算例は数字が合っていません。提示された精算書は必ずご自分で検算してください。

この記事は、IBJメンバーズ(株式会社IBJ直営の結婚相談所)で活動中に退会・休会を考えている方と、無料カウンセリングを受ける前に解約条件を確かめておきたい方に向けたものです。

目次

登録料33,000円は「返金なし」と公式に明記。ただし消費者庁は入会金の不返還特約を無効としている

まず、公式サイトに書いてあることだけを表にします。書かれていないものは推測で埋めず〔未確認〕としています。

項目公式サイトの記載
運営会社株式会社IBJ(東京証券取引所プライム市場・証券コード6071/設立2006年2月)。本社は〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-23-7 新宿ファーストウエスト12F・17F。IBJメンバーズ直営店は9店(2026年8月)
途中退会の可否「はい。また、IBJメンバーズでは入会時にお支払いいただいた活動サポート費のうち、未活動分を返金いたします。」
返金の対象費用他社比較表に「対象期間:1年以内に中途退会/対象費用:残期間の活動サポート費」と明記
登録料の精算返金モデルケースに「登録料(返金なし) -33,000円」と明記
途中退会の申出先・締切・書式〔未確認〕(公開ページに記載が見当たらない)
成婚退会「プロポーズが成功し『婚約』した時点を成婚」。成婚料は「成婚退会をする際にお客様より一律で頂く費用で、必ず必要となります」
休会「ご契約期間中、1ヶ月単位で最長3ヶ月間、活動を休止することができます。活動休会中は月会費を頂きません」。手数料・申請締切・契約期間に加算されるかは〔未確認〕
クーリング・オフ「契約書面の受領日から8日以内であれば、無条件に入会契約を解除することができます。この場合、既にお支払済の料金および消費税は、全額ご返金いたします。」
契約期間(コース)「1年プログラム 初期費用229,500円(税込252,450円)」を公開。他のコースの有無・一覧は〔未確認〕(のりかえ割ページは「※対象コースは無料カウンセリング時にご確認ください。」とのみ)
お見合い料1年プログラムの内容に「お見合い料 無料」と明記。あわせて「電話やメールでの相談・アドバイス 無料」「面談 6回/年」「申込み件数 20名/月」
2年目以降の費用1年プログラムの注記に「※:2年目以降は有料となります。」とあるのみ。何がいくら有料になるかの内訳は〔未確認〕
支払方法クレジットカード(VISA、MASTER、JCB、AMEX、ダイナースクラブカード)、口座振込(銀行振込)
特定商取引法に基づく表記〔未確認〕。公式サイト・会社サイトのいずれにも該当ページを見つけられなかった(後述のとおり、店頭契約であれば表示義務の対象外)
会員規約の公開〔未確認〕。公開URLを見つけられなかった

(IBJメンバーズ よくあるご質問・2026年9月6日確認/IBJメンバーズ 料金・費用・2026年9月6日確認/IBJメンバーズ 結果を求める人のための徹底成婚主義・2026年9月6日確認/IBJメンバーズ 他社のりかえ割・2026年9月6日確認/株式会社IBJ 会社概要・2026年9月6日確認)

🔑 公式サイトを読み比べて分かった3つのこと

① 「未活動分を返金」の対象は、初期費用のうち片方だけ。もう片方は「返金なし」

途中退会について、公式FAQはこう答えています。

はい。また、IBJメンバーズでは入会時にお支払いいただいた活動サポート費のうち、未活動分を返金いたします。

読み飛ばしやすいのですが、ここで名指しされているのは「活動サポート費」だけです。料金ページを開くと、入会時に払う費用は活動サポート費(199,500円/税込219,450円)と登録料(30,000円/税込33,000円)の2本立てになっています。初期費用の合計は税込252,450円で、そのうち「未活動分を返金」と書かれているのは219,450円のほうだけです。

では登録料33,000円はどうなるのか。公式サイトの別ページ(サービス紹介ページ)に、他社との返金制度の比較表と、返金額のモデルケースが載っています。比較表はIBJメンバーズについて「対象期間:1年以内に中途退会/対象費用:残期間の活動サポート費」と書いており、返金の対象が活動サポート費に限られることを公式自身が明示しています。そしてモデルケースの内訳が、これです。

項目公式ページの表示(すべて税込)
ご入会時にお支払いいただいた費用252,450円
登録料(返金なし)-33,000円
活動サポート費(3ヶ月)-54,861円
解約料252,450円
ご返金額144,589円

(前提として「※:1年プログラムで3ヶ月活動し中途退会した場合。」、注記として「※:記載金額はすべて税込み価格です。」「※:振込手数料はお客様のご負担となります。」「※:会員様の活動期間やコースによって返金額は異なります。詳しくはスタッフまでお尋ねください。」)

(IBJメンバーズ 結果を求める人のための徹底成婚主義・2026年9月6日確認)

つまり登録料の扱いは「書かれていない」のではなく、「返金なし」と公式に書かれているのです。ここが、この記事でいちばん確認してほしい点になります。後述のとおり、消費者庁は「入学金(入会金)は返還しない」といった特約を無効としているからです。

② その公式モデルケースは、表示どおりに引き算すると計算が合わない

上の表を、書かれている数字のまま上から引いてみてください。252,450円から33,000円と54,861円を引くと164,589円です。ところが公式が示す返金額は144,589円。20,000円が説明のないまま消えています

間に挟まっている「解約料」の欄には252,450円と表示されていますが、この額をそのまま引けば返金額はマイナスになってしまうので、この欄の表示は何らかの誤りだと考えるほかありません。公式が公開している返金の計算例が、公式の表示のままでは成立していない——契約前にこの表を見て金額の見当をつけようとしている人にとっては、無視できない話です。

そして、消えている20,000円という数字には見覚えがあるはずです。あとで見るとおり、これは結婚相手紹介サービスの中途解約で、サービス開始後に事業者が上乗せできる金額の法定上限(2万円)とぴたり一致します。実際、この例で契約残額は252,450-54,861=197,589円なので、その20%は39,517円。「2万円か契約残額の20%の低いほう」は2万円になります。ただし、公式の表示が壊れている以上、この20,000円が本当に解約料なのかを公式ページから確定することはできません〔未確認〕。契約前なら無料カウンセリングで、活動中なら窓口で、この欄の正しい金額を書面で出してもらってください

③ 料金ページとFAQで費目の呼び方が違う(金額は一致している)

公式FAQの料金の説明はこうです。

料金は、入会金と、月会費、成婚退会費があり、以下のとおりです(すべて税抜表示) 入会金:229,500円 月会費:15,500円 成婚退会費:200,000円

一方の料金ページは、同じ入会時費用を「登録料30,000円+活動サポート費199,500円」と2つに割って表示しています。30,000+199,500=229,500なので金額はぴたりと一致します。矛盾ではなく、呼び方の粒度が違うだけです。

ただし解約の話をするときは、この粒度の差が効いてきます。FAQの言葉づかいでは初期費用229,500円がまるごと「入会金」ですが、返金の説明は「活動サポート費」という料金ページ側の名前で書かれている。どの名前の費目について話しているのかを、窓口とのやり取りで毎回そろえるようにしてください。「入会金は返りますか」と聞くと、答える側が229,500円の話をしているのか199,500円の話をしているのかがぶれます。返金対象は活動サポート費(税抜199,500円)で、返金なしとされているのは登録料(税抜30,000円)です。

公式サイトの数字が常に揃っているとは限らない、という点も付け加えておきます。会員データのページでは、同じページの中に「業界No.1!会員数は110,885名」と「業界No.1!会員数は109,374名」が並んで置かれており、どちらにも同じ注記(「2026年8月時点 IBJの登録会員数」)が付いています。画面幅で出し分ける表示のどちらかが更新されていないものと見られ、解約の条件そのものとは関係ありません。それでも、お金の条件をWebページの表示だけで確定させず、必ず書面で突き合わせる理由にはなります (IBJメンバーズ 会員データ・2026年9月6日確認)。

💰 結局いくらかかるのか

公式に出ている費目は4つ

費目タイミング税抜税込
登録料入会時30,000円33,000円
活動サポート費入会時199,500円219,450円
月会費毎月15,500円17,050円
成婚料成婚退会時200,000円220,000円

(IBJメンバーズ 料金・費用・2026年9月6日確認。税抜・税込はいずれも料金ページの表示どおり)

サービス紹介ページの「1年プログラム」も初期費用を229,500円(税込252,450円)と書いており、料金ページの登録料+活動サポート費と一致します。同ページには「お見合い料 無料」「電話やメールでの相談・アドバイス 無料」と明記されているので、この2つで追加請求が生じる形にはなっていません。ただし同じ枠に「※:2年目以降は有料となります。」という注記があり、何がいくら有料になるのかは公開されていません〔未確認〕。

1年活動した場合の単純計算

公式の4費目だけで積み上げると、こうなります(休会や割引を使わない場合の単純計算です)。

  • 入会時の初期費用:33,000円+219,450円=252,450円(税込/税抜229,500円)
  • 12か月分の月会費:17,050円×12=204,600円(税込)
  • 1年活動した時点の合計:457,050円(税込)
  • そこから成婚退会に至った場合:+220,000円=677,050円(税込)

休会中は月会費がかからないと公式が明記しているので、3か月休会すれば月会費は9か月分になります。逆に、公式に出ている4費目のほかに払うお金があるかどうかは、「2年目以降は有料」の中身も含めて公開されていません〔未確認〕。無料カウンセリングで「この4つ以外に払うお金はありますか」と一度で聞いてしまうのが確実です。

途中退会したとき、公式の記載から言えること/言えないこと

費目公式サイトの記載
活動サポート費(税込219,450円)「未活動分を返金いたします」と明記。比較表でも対象費用は「残期間の活動サポート費」
登録料(税込33,000円)「登録料(返金なし)」と明記(返金モデルケース)
解約料返金モデルケースに欄はあるが、表示金額(252,450円)では計算が成立しない〔未確認〕。表の差額は20,000円
月会費(税込17,050円/月)記載なし〔未確認〕。休会中は徴収しないとの記載のみ
成婚料(税込220,000円)「成婚退会をする際に…頂く費用」とあり、成婚退会ではない途中退会で請求されるとは書かれていない。中途退会時の扱いは記載なし〔未確認〕
違約金記載なし〔未確認〕

(IBJメンバーズ よくあるご質問・2026年9月6日確認/IBJメンバーズ 結果を求める人のための徹底成婚主義・2026年9月6日確認)

まだ〔未確認〕が残りますが、これは調べ落としではなく、精算の詳細はWebではなく契約書面に書かれる建て付けになっているためです。次の章で、その契約書面に何が書かれていなければならないかを法律の側から見ます。

⚖️ 法律上の位置づけ

結婚相手紹介サービスは、特定商取引法の7類型に入っている

消費者庁は「特定継続的役務提供」について、こう説明しています。

長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。現在、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務が対象とされています。

結婚相手紹介サービスが対象になる条件は、役務の提供期間が2か月を超え、かつ支払う金額の総額が5万円を超えることの2つです(特定商取引法施行令第24条。同条第2項は「五万円とする」と定め、別表第四の結婚相手紹介サービスの期間は「二月」)。5万円に何が算入されるかについて、消費者庁の逐条解説はこう書いています。

これには、狭義の役務の対価に限らず、入学金、入会金、施設利用料等も含めた役務の対価のほか、役務の提供に際し購入しなければならない商品がある場合には当該商品の対価も含めた額をもって政令で定める額(5万円)を超えているかを判断するものである。

IBJメンバーズの初期費用は税込252,450円ですから、金額の側は5万円を大きく超えます。期間はどうか。公式サイトが公開しているコースは「1年プログラム」で、返金制度の比較表も対象期間を「1年以内に中途退会」と書いています。額面どおりなら提供期間は1年であり、2か月を超えます。

ただし、法律上の期間は逐条解説が「法第42条第2項第4号又は第3項第4号に掲げる交付書面の記載事項である役務の提供期間を指す」としているとおり、契約書面に書かれた提供期間で判断されます。公開されているコースが1年プログラムだけとは限らず、コース一覧そのものは非公開です〔未確認〕。該当するかどうかは会社単位ではなく契約したプラン単位で決まるので、この記事で「IBJメンバーズは該当する/しない」と結論することはしません。手元の契約書面を開いて、提供期間が2か月を超えているかを確認してください。

クーリング・オフは8日。書面に不備があれば、その8日はまだ始まっていない

特定継続的役務提供に当たる契約なら、クーリング・オフは契約書面を受け取った日を含めて8日間(特定商取引法第48条)。方法は書面または電磁的記録(電子メール、事業者サイトの専用フォーム、FAXなど)で、通知を発した時点で効力が生じます(発信主義)。相手に届いた日ではなく、送った日で判断されるということです。損害賠償や違約金を請求されることはなく、すでに役務が提供されていても対価を請求されません。これに反する不利な特約は無効です(同条第8項)。

IBJメンバーズの公式FAQは「契約書面の受領日から8日以内であれば、無条件に入会契約を解除することができます。この場合、既にお支払済の料金および消費税は、全額ご返金いたします。」と書いており、法律の内容と食い違いません。ただし公式の書き方は「8日以内」までで、発信主義であることまでは触れていないので、期限ぎりぎりなら記録の残る方法(特定記録郵便やメール)で送り、送信日の証拠を残すのが安全です。

そしてここが最も強い論点です。消費者庁の逐条解説は次のように述べています。

役務提供事業者等がこれらの書面を交付しなかった場合はもとより、クーリング・オフができる旨が記載されていない等、書面に重要な事項が記載されていない場合、クーリング・オフをすることができなくなるまでの8日間の起算日が到来せず、クーリング・オフできる時間が継続することになる(すなわち、クーリング・オフをする権利が消費者側に留保されていることになる。)。

書面は2回交付されるのが決まりです。契約前に概要書面、契約後に遅滞なく契約書面。赤枠の中に赤字、8ポイント以上という体裁の要件もあります。結婚相手紹介サービスにはさらに固有の記載事項があり、逐条解説は「結婚相手紹介サービスについては役務を提供する回数その他の数量の総計を具体的に記載する」「有効期間内であれば提供される時間数、回数等に制限がない場合にはその旨記載する」「どの程度の回数の役務を提供するのか等について自らの責任において約束ができない場合には、例えば、『役務の提供回数については約束できない。』等を明確に記載する必要がある」と書いています。お見合い回数や紹介人数の総計も、無制限である旨も、約束できない旨も、どれも書かれていない契約書面は記載不備の疑いがあり、その場合8日の起算日がまだ来ていない可能性があります。

なお、公式サイトの1年プログラムには「申込み件数 20名/月」「面談 6回/年」という数量の記載があります。ここに書かれている数量と、あなたの契約書面に書かれている数量が一致しているかは、受け取った書面の側で確かめてください。書面の記載こそが法律上の基準になります。

8日を過ぎても中途解約できる。上限額は結婚相手紹介サービス専用の数字

クーリング・オフ期間を過ぎたあとも、契約期間中であれば理由を問わず中途解約できます(特定商取引法第49条)。条文は「将来に向かつてその特定継続的役務提供契約の解除を行うことができる。」と定めています。消費者庁Q&Aも「クーリング・オフ期間経過後も、その契約期間中であれば、いつでも、理由の如何を問わず中途解約することができます。」としています。逆にいえば契約期間が満了してしまうと中途解約はできません。迷っている間に期間が切れないよう注意してください。

このとき事業者が請求できる額には、類型ごとに上限が決められています。ここは類型を取り違えると数字がまるごと違ってしまうところで、結婚相手紹介サービスの数字は語学教室やパソコン教室とは別物です。

解約のタイミング結婚相手紹介サービスの上限(参考)語学教室
サービス提供開始3万円(7類型で最も高い)1万5000円
サービス提供開始提供済みの役務の対価相当額 +「2万円 または 契約残額の20%」のいずれか低い額提供済み対価 +「5万円 または 契約残額の20%」の低い額

根拠は特定商取引法施行令別表第四 七の項で、第四欄が「三万円」、第三欄が「二万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額」です。「契約残額」は「対価の総額から提供された特定継続的役務の対価に相当する額を控除した額」と定義されています。

結婚相手紹介サービスは、開始前の上限が7類型で最高の3万円である一方、開始後に上乗せできる「通常生ずる損害の額」は2万円が天井です。まだ1回もお見合いをしていない段階でも3万円までは請求されうるが、活動を始めたあとの上乗せは2万円か契約残額の20%の低いほうで止まる——この形を頭に入れておくと、提示された精算書の妥当性を自分で検算できます。

そして重要なのが、これは上限であって、事業者に請求権を与えたものではないという点です。逐条解説は「なお、これらはあくまでも上限であり、役務提供事業者にこれらの金額を請求する権利を認めたものではない。」「本項第1号又は第2号の政令で定める額はあくまでも上限であり、個別ケースにおいて生じている損害又は費用の額がこれを下回っている場合にまで当該上限額を請求できることを容認するものではない。」と二重に釘を刺しています。「法律で3万円と決まっているので」と言われても、それは自動的に3万円を払う理由にはなりません。

「入会金は返さない」という特約は無効。公式のモデルケースを検算してみる

消費者庁Q&Aは、入会金・入学金についてこう述べています。

「入学金(入会金)は返還しない」等の特約は無効になります。

そのうえで、初期費用を中途解約時に請求するには、契約書面の「精算に関する事項」に具体的な内容と請求する旨をあらかじめ書いてあることが必要とされています。だからこそ、公式ページに「登録料(返金なし)」と書かれていることと、あなたの契約書面の「精算に関する事項」に何が書かれているかを、突き合わせる必要があります。

先ほどの公式モデルケース(1年プログラムで3か月活動して中途退会)を、法律の上限に当てはめて検算するとこうなります。

  • 提供済みの役務の対価相当額=公式が3か月分として控除している 54,861円
  • 契約残額=252,450-54,861=197,589円。その20%は39,517円なので、「2万円か契約残額の20%の低いほう」は 20,000円
  • 事業者が請求できる上限=54,861+20,000=74,861円
  • この上限どおりなら返金額は 252,450-74,861=177,589円
  • 公式モデルケースの返金額は 144,589円。差の 33,000円 は、「登録料(返金なし)」として控除されている額と一致します

ここから先は、契約が特定継続的役務提供に当たるかどうか、そして登録料が「特定継続的役務の対価の総額」に含まれるかどうかという評価が入るため、この記事で個別の精算の当否を断定することはしません。書けるのは、消費者庁が「入会金は返還しない」という形の特約を無効としていること、そして上の枠組みで自分の精算書を検算できること、この2つです。検算が合わないときは、後述の188に持ち込んでください。

国民生活センターは、まさにこの構図の相談事例を公表しています。

結婚相手紹介サービスに登録し1年近く経ってから退会を申し出ました。会員規約では、中途解約の場合、既払い金や入会金、登録料、紹介料は一切返金されず、解約料として契約金額の2割を支払うことになっています。解約料が高額すぎるのではないでしょうか。

回答は「業者から精算方法が記載されている書面をもらい、特商法に定められた方法で精算されているか確認しましょう」というものです。口頭の説明ではなく、精算方法が書かれた書面を出してもらう。これが最初の一手になります。

成婚料については、公的な記述が存在しない

成婚料は結婚相談所に特有の費目ですが、消費者庁の逐条解説・運用指針・ガイド・Q&Aのいずれにも「成婚料」という語は出てきません。したがって中途解約したときの成婚料の法的な扱いを、この記事で断定することはできません。公的な根拠がないまま「返ってくる」「返ってこない」と書けば、それは事実の捏造になります。

言えるのは次の2点までです。ひとつは、IBJメンバーズの公式FAQが成婚料を「成婚退会をする際にお客様より一律で頂く費用」と定義していること。文言どおり読めば、成婚退会に至っていない途中退会の場面で成婚料を払うという説明はされていません。もうひとつは、逐条解説の金額要件の説明が「入学金、入会金、施設利用料等も含めた役務の対価」を挙げており、名目を問わず支払わなければならない金銭は5万円要件の総額に算入されることです。すでに成婚料が発生している段階での精算など、個別の判断が要る場面は、後述の188に持ち込んでください。

婚活の場で宝石・指輪を買っていたら、本体解約と一緒に解約できる

特定継続的役務提供には「関連商品」という仕組みがあり、本体契約を解約すると関連商品の売買契約も一緒に解約できます。結婚相手紹介サービスで指定されているのは施行令別表第五 第五号で、イ 真珠並びに貴石及び半貴石/ロ 指輪その他の装身具の2つだけです。宝石販売と抱き合わせる勧誘を想定した指定です。

注意点が3つあります。第一に、関連商品になるのは契約書面に購入する必要のある商品として記載されたもので、記載のない任意購入品は対象外です。第二に、関連商品だけを単独でクーリング・オフすることはできません。第三に、結婚相手紹介サービスの関連商品に消耗品の指定はないので、指輪をはめてしまったからクーリング・オフできない、ということはありません。なお、書籍・セミナー・写真撮影・衣装レンタルなどは指定されていないため、この枠組みでは解約できません。

逆に、間違えやすいのはここ

  • 「通信販売だから8日以内なら返品・解約できる」は誤り。 特定商取引法第15条の3の返品制度は条文上「商品又は特定権利の売買契約」に限られ、役務の提供契約には適用されません。婚活サービスの解約をこの条文で語ることはできません。
  • 「オンライン完結だから対象外」も誤り。 逐条解説は「役務の提供がファクシミリや電話、インターネット、郵便等を用いて行われる場合も広く含まれる」と明記しています。
  • 「上限額まで請求される」も誤り。 前述のとおり逐条解説が明確に否定しています。
  • 会社の名前で該当・非該当は決まりません。 期間・金額・契約内容というプラン単位の要素で決まります。

勧誘の内容に問題があれば、契約そのものを取り消せることがある

契約が特定継続的役務提供に当たる場合、勧誘の場で「必ず条件に合う人を紹介できる」といった事実と異なる説明を受けて契約したときは、不実告知を理由に契約を取り消せる可能性があります(特定商取引法第44条第1項・第49条の2)。この取消しはクーリング・オフ期間を過ぎていても使えます。国民生活センターも「契約しても、自分の気に入る人が必ず紹介されるとは限らず、結婚できるかどうかは不確実なものです。」と注意を促しています。

広告の側にも規制はあります。特定商取引法第43条は特定継続的役務提供の広告について、役務の内容や効果などを「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」をしてはならないと定めており、第43条の2により、主務大臣が求めた裏付け資料を事業者が提出しないときは誇大広告に該当するものとみなされます。会員数や成婚率の表示も、この一般的な枠組みの中にあります。ただし、消費者庁が結婚相談所の会員数・成婚率の広告について特化した指針を公表しているかは確認できませんでした〔未確認〕ので、個別の広告表現の当否をここで判定することはしません。

特定商取引法に当たらない場合でも、消費者契約法は常に効く

契約期間が2か月以下であるなど、特定継続的役務提供に当たらない契約であっても、消費者契約法は必ず適用されます。同法第9条第1号は、解約に伴う損害賠償や違約金のうち「平均的な損害の額」を超える部分を無効としています。同条第2項により、消費者から求められれば事業者はその算定根拠の概要を説明する努力義務を負います。高額な解約料を提示されたら、まず「その金額の算定根拠を教えてください」と書面で求めるのが有効です。

📗 これから契約する人へ

無料カウンセリングは営業の場でもありますが、同時に解約条件を書面で確かめられる唯一の機会でもあります。その場で聞くことを4つに絞ると次のようになります。

  1. 契約期間は何か月ですか。 公式サイトに出ているのは「1年プログラム」ですが、他にコースがあるかは公開されていません。2か月を超えるかどうかで、法律の中途解約ルールが乗るかが変わります。口頭ではなく概要書面の記載で確認してください。
  2. 途中でやめた場合、登録料33,000円はどうなりますか。 公式サイトには「登録料(返金なし)」と書かれています。一方で消費者庁は入会金の不返還特約を無効としています。契約書面の「精算に関する事項」の欄を指さして説明してもらってください。
  3. 解約料はいくらで、どう計算しますか。 公式サイトの返金モデルケースは、解約料の欄の表示のままでは計算が合いません。金額と計算式を書面で出してもらいます。
  4. 4つの費目以外に払うお金はありますか。「2年目以降は有料」とは何がいくらですか。 あるなら名目と金額を書面で。

そして、契約前に概要書面、契約後に契約書面という2通を受け取ったかを必ず記録に残してください。受け取っていない、あるいはクーリング・オフの記載がないなら、8日の起算日はまだ来ていない可能性があります。

なお、次のような場面に当たったら、自分で判断せず消費者ホットライン188に相談してください。消費者庁も「困ったときは、一人で悩まずに、『消費者ホットライン』188にご相談ください。」としています。

  • 「入会金・登録料は一切返金しない」と言われた、または規約にそう書かれている
  • 提示された返金額が、上の検算(提供済み対価+2万円か契約残額の20%の低いほう)より少ない
  • 解約料として契約金額の◯%を請求された(上限を超えていないか検算が要る)
  • すでに成婚料が発生している段階での精算でもめている
  • 契約書面にお見合い回数・紹介人数の総計が書かれていない
  • 概要書面・契約書面を受け取っていない、クーリング・オフの記載がない
  • 「必ず条件に合う人を紹介できる」と言われて契約した
  • 街頭で声をかけられて店舗に同行した、販売目的を告げられずに呼び出されたなど、勧誘の経緯に引っかかりがある

よくある質問

Q. 休会すれば解約しなくて済みますか。休会に費用はかかりますか。

A. 公式FAQは「ご契約期間中、1ヶ月単位で最長3ヶ月間、活動を休止することができます。活動休会中は月会費を頂きません」と説明しています。月会費が止まるのは大きく、活動を続ける気があるなら有力な選択肢です。ただし休会手数料の有無、申請の締切、休会期間が契約期間に加算されるのかどうかは公式サイトに記載がなく〔未確認〕です。ここで注意したいのは、中途解約ができるのは契約期間中に限られるという点です。公式サイトが公開しているコースは1年プログラムで、返金制度の対象期間も「1年以内に中途退会」と書かれています。休会で先延ばししているうちに契約期間が満了すると、中途解約という選択肢そのものがなくなります。休会を選ぶなら、契約期間の残りを必ず確認してください。

Q. 公式サイトに「特定商取引法に基づく表記」が見当たりません。問題があるのでしょうか。

A. 探した範囲では、IBJメンバーズの公式サイトにも株式会社IBJの会社サイトにも該当ページを見つけられませんでした〔未確認〕。ただし、これをもって何かが不適切だと結論することはできません。いわゆる「特定商取引法に基づく表記」は通信販売の広告に求められる表示(特定商取引法第11条)であり、通信販売とは郵便やインターネットなどで契約の申込みを受ける取引を指します。IBJメンバーズの公式サイトにあるフォームは「来店でのご相談」と「資料請求」だけで、入会契約そのものをWeb上で申し込む導線は見当たりません。公式FAQも来店予約制であることを説明しています。店舗で説明を受けて結ぶ入会契約は通信販売ではないので、この表示義務は及びません。そのうえで特定継続的役務提供には、誇大広告の禁止(第43条)と書面交付義務(第42条)という別の規制がかかります。あなたが受け取るべき書面は、Webページではなく概要書面と契約書面の2通です。そちらが交付されているか、クーリング・オフの記載が赤枠・赤字であるかを確認してください。

Q. 「もう活動を始めているから返金はできない」と言われました。従うしかないですか。

A. その説明は法律の構造と合いません。契約が特定継続的役務提供に当たる場合、サービス提供開始後の中途解約でも、事業者が請求できるのは提供済みの役務の対価相当額に、2万円か契約残額の20%の低いほうを加えた額までです。残りは返還されるのが原則で、「開始後だから一切返さない」は成り立ちません。しかも上限額は請求権ではないので、実際の損害がそれを下回るなら上限まで取れるわけでもありません。公式サイト自身も「1年以内に中途退会」した場合に残期間の活動サポート費を返金すると書いています。まず精算方法が記載された書面を出してもらい、計算が上限を超えていないかを確かめ、納得できなければ188に相談してください。

出典一覧

※本記事の金額・記載内容は2026年9月6日時点で公式サイトを確認したものです。料金や制度は改定されることがあるため、契約・解約の前に必ず最新の公式情報と、ご自身が受け取った概要書面・契約書面をご確認ください。個別の精算をめぐる判断は消費者ホットライン188にご相談ください。

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